2021年4月28日 順天堂大学保健医療学部の診療放射線学科の『病理学概論』(13:10-14:40)、『がん医療学科』(14:50-16:20)の授業に赴いた。
『病理学概論』の授業の概要:「病理学」とは、病気の根幹を追求しようとする「the study of the diseased tissues」を機軸とする。 病理学は、実験を通して病気のメカニズムを解明していく「実験病理」とヒトの臓器、組織を主に形態学的に診断する「人体病理」に大別される。 更に人体病理は解剖病理と診断病理に大別される。 診断病理には、細胞診、術中迅速診断、生検や手術の組織診断がある。 特殊染色、免疫組織化学染色、蛍光抗体法、電子顕微鏡観察は補助診断として用いられる。 本講義では、将来医療職に従事する学生の「病気に対する正しい理解」を深めることを目的とするものであり、具体的に様々な病変の『正常細胞と異常細胞の違い』を学ぶことで、『病気』の具象的なイメージを捉えることである。
『がん医療学科』の授業の概要: 本講義では、「がんがどのように発生・増殖・進展していくのか、その発症機序を学び、次いで転移・再発のメカニズムを理解する。 それに基づいて、いかなる各種がん治療が行われているかを幅広く総合的に理解する。 更にがん診断・予防などの医療も含めて、その基礎理論と概念に関して 病理学の視点から理解と知識を深める。」と謳われている。
授業の達成目標は、
『世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく』
『俯瞰的に「人間」を理解し「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成』
『複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具眼の士」の種蒔き』
とシラバスには、記載されている。 学生から多数の真摯な質問があり、大変充実した時であった。
『がん病理学』 は「がん」に関しての学問で、 『形態』 、 『起源』、 『進展』などを追求する学問分野である。 当然「がん研究者」だけのものでなく、一般社会の人々の為の学問でもある。 「がん病理学者」が『がん』 をどの様に考えるかは、とても大切なことである。 なぜなら『がん』に対する概念が世界観、人生観、ひいては日常の決断や行動をも時には決定するからである。「がん」の『起源』 と『進展』を学ぶことは、ある意味では人生の意義と目的の『静思』 へとも導くものと考える。 これこそ、『がん病理学者の社会貢献』 である。 「電子計算機時代だ、宇宙時代だ といってみても、人間の身体の出来と、その心情の動きとは、昔も今も変ってはいないのである。 超近代的で合理的と いはれる人でも、病気になって、自分の死を考へさせられる時になると、太古の人間にかへる」(吉田富三 1968年)(添付)。授業の後、筆者が、新渡戸稲造記念センター長を務める、新渡戸記念中野総合病院での『新渡戸グロ―バルCPC』(Clinical Pathological Conference 臨床病理カンファレンス)に出席した。 病理医として、CPCは、原点である。 『病理学』を極めることは、『「森を見て木の皮まで見る」ことであり、マクロからミクロまでの手順を踏んだ「丁寧な大局観」を獲得する「厳粛な訓練」の場でもある。』。 これこそ、『病理学者の社会貢献』 であろう!
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