筆者は、この度、ルーテル学院大学の『総合人間学』で講義{『楕円形のこころ』&『聖書とがん』}(添付)を依頼された。 2021年6月10日(10:20〜12:00)は、Zoom講義『楕円形のこころ』に赴いた。 『真理は円形にあらず、楕円形である。 一個の中心の周囲に描かるべきものにあらずして、二個の中心の周囲に描かるべきものである。 人は何事によらず 円満と称して円形を要求するが、天然は 人の要求に応ぜずして 楕円形を採るはふしぎである。』(内村鑑三)を語った。 生命現象は、「交感神経 vs 副交感神経」&「がん遺伝子 vs がん抑制遺伝子」と、まさに『楕円形のこころ』である。 がん化のプロセスは 『Transform :トランスフォーム(突然変異)』と『Inmotorize :インモータライズ(不死・不滅)』によると言われる。 正常細胞がトランスフォームすることで、インモータライズであるがん細胞 になるわけである。
{『「アダム と イブ」は、なぜ 蛇の誘惑に負けたのか? なぜ エデンの園を 追放されたのか? トランスフォームして「がん化」したものが 永遠に生きないように。 弁解じみたことを言うと、誘惑に負ける。「Yes」か「No」で答えれば 人は去っていく。』を、さりげなく語った。 まさに、「エデンの園に学ぶ がん化」である。 イブは、『善悪の(知識の)木』から取って食べたことで突然変異し、不死となる(がん細胞になる)プロセスを踏もうとしていた。 がんは正常細胞の遺伝子に外からの要因である「付加と削除」が行われることで がん細胞となる。 外部要因(ヘビにそそのかされること)によってイブの心に「もしかしたら食べても平気ではないか」という感情が起こされた。 これが突然変異であり、細胞ががん化するメカニズムと重なるのである。 さらに、一つだったがん細胞は仲間を増やそうとする。 がん細胞は人間社会の縮図とも言えるような存在}と話す。 これが、筆者が、『がん哲学』を提唱した原点である。
筆者は、『何か悪いことをたくらむ時、人間は仲間を増やし徒党を組みます。 一人なら静かで穏やかな顔をしているのに、集団になると途端に悪い行動に走ってしまうものです。 こうなるともう周囲のコントロールがきかなくなってしまいます。 自分の犯した過ちを他者のせい(ヘビのせい)にするところなども、残念ながら今の社会でよくある話です。 エデンの園の物語と がんのメカニズムの関係は 治療法にまで及びます。 神はヘビにこう言います。「お前と女(イブ)、お前の子孫と女の子孫の間にわたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕きお前は彼のかかとを砕く。」(創世記3章15節)。 ヘビが口を開けて人間のかかとに噛みつこうとしている姿を想像してみてください。これを、がん細胞と治療の関係にとらえると、治療薬(かかと)とそれに作用する がん細胞のリガンドレセプター(ヘビの口)のように見えるのです。』と 冗談ぽく語ることにしている。
午後は、『現代生命科学』(14:30〜16:10、16:20〜18:00)の講義で、教科書『カラーで学べる病理学』の『循環障害』、『炎症』、『免疫とアレルギー』の授業を行なった。 『病理学』 は「病気」に関しての学問で、 『形態』 、 『起源』、 『進展』などを追求する学問分野である。 当然病理学者だけのものでなく、一般社会の人々の為の学問でもある。病理学者が『病気』 をどの様に考えるかは、とても大切なことである。 なぜなら『病気』に対する概念が世界観、人生観、ひいては日常の決断や行動をも時には決定するからである。 「病気」の『起源』 と『進展』を学ぶことは、ある意味では人生の意義と目的の『静思』 へとも導くものと考える。これこそ、『病理学者の社会貢献』 であろう。
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