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執筆者の写真樋野 興夫先生

第176回 「生きる勇気、死ぬ勇気」 〜 「心がけにより逆境も順境とされる」〜

 2021年12月8日は、『がん哲学外来 in 新渡戸稲造(1862-1933)記念センター』が設置されている『新渡戸記念中野総合病院』(新渡戸稲造が初代理事長)での定例の読書会「新渡戸稲造 著『武士道』(矢内原忠雄;1893-1961) 訳、岩波文庫1938年発行)」(添付)に出席した。 理事長、病院長、副院長、看護部長、事務局長、職員と、今回は、第12章「自殺および復仇の制度」を学んだ。 長い章で、難解な用語が多数あるが、音読を担当された2人のスタッフの真摯な姿勢には、大いに感動した。 謙虚な医療従事者の原点であろう! 「生きる勇気、死ぬ勇気」を改めて静思する時であった。 それにしても、病気療養のためにアメリカ滞在中の新渡戸稲造が、英文で、多数の引用人物、歴史的な資料を記載したのは、ただただ驚きである。 「この小著の直接の端緒は、私の妻が、かくかくの思想もしくは風習が 日本にあまねく行われているのは いかなる理由であるかと、しばしば質問したことによるのである。」&「長病いのため止むをえず無為の日を送っているを幸い、家庭の談話で私の妻に与えた答えを整理して、いま公衆に提供する」と新渡戸稲造は序文に記述している(1899年12月)。 まさに、「心がけにより逆境も順境とされる」(新渡戸稲造)の実践であろう!


筆者の最初の著作は、『われ21世紀の新渡戸とならん』(2003年 イーグレープ発行)である。 筆者が癌研時代に書き始め、順天堂大学医学部病理学教授に就任した年(2003年) 御茶ノ水のホテル東京ガーデンパレスで、出版記念会が開催されたのが、鮮明に思い出される今日この頃である。 筆者は、wifeが小学校の校長として勤務する東久留米のインターナショナルスクール(CAJ)で、最初に読書会を始めたのは、2007年12月9日である。 不思議な時の流れを痛感する日々である。


2021年12月9日 「新渡戸稲造記念センター」の中野駅から武蔵境駅に向かった。 ICU(国際基督教大学)の友人が駅に迎えに来て頂き、昼食を共にして、隣接のルーテル学院大学での現代生命科学IIの『病理学』の講義に赴いた。 今回は、後期6回目の授業で、前半(14:30〜16:10)は、「教科書」の『感染症』、休憩し、後半(16:20〜18:00)は、『代謝異常』を行なった。 教科書を音読する学生の真摯な姿勢には、大いに感銘した。 コロナ時代、「感染の予防と制御」(標準予防策、感染経路別予防策:接触感染予防策、飛沫感染予防策、空気感染予防策)の学習はタイムリーであると痛感した。 まさに、「もしかしたらこの時の為」であろう!



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