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第179回 『初めに、ことばがあった』 〜 『言葉の処方箋』の根源 〜

 2021年も終わりである。 今週、『ヨハネ福音書を読もう上 〜 対立を超えて 〜』(日本キリスト教団出版局)が著者の松本敏之 先生(鹿児島加治屋町教会牧師、鹿児島敬愛学園敬愛幼稚園園長)から送られてきた。 松本敏之先生との最初の出会いは、筆者が現在、理事長を務める恵泉女学園の理事会であった。 思えば、筆者が、聖書を読んだ最初の箇所は、『ヨハネの福音書 第1章1節』の『初めに、ことばがあった』である。 京都での浪人時代、予備校の英語の先生(牧師でもあった)から聞いたものである。 まさに、『言葉の処方箋』の根源である。 その先生が東京大学法学部の学生時代の総長が南原繁である。 そして、南原繁の恩師である『内村鑑三・新渡戸稲造』へと繋がった。 不思議な人生の邂逅である。


最近、筆者は、講演会で、「なぜ、がん哲学外来を始められたのですか?」と質問されることが多い。 【2005年、いわゆる「クボタ・ショック」の時、『アスベスト・中皮腫外来』を順天堂大学病院で始めました。 患者さんの待ち時間を利用して問診と中皮腫の説明を一人30分程度行いました。 患者さんの声に耳を傾けて、言葉で対応した経験が、『がん哲学外来』につながるのです。 2008年、『がん哲学外来』を順天堂大学病院で開設しました。】と、そして、【『がん哲学外来』を開設したとき、来談者さんの相談は病気に関する不安や悩みがばかりだろうと予想していました。 ところが会ってみると、家族や職場の人間関係の心の苦しみが多かったのです。 家族内の悩みの原因は、家族の距離に問題があるケースが多いようです。 家族が患者さんに寄り添う訓練ができていないことが理由の一つです。 また、患者さんと医師の関係も難しい問題があります。 がんになって不安を抱えている患者さんにとって、本当に必要なのは医学的な情報だけではなく、悩みを話せる相手なのです。】と何時も答える。


筆者は、このような言葉の効用を『言葉の処方箋』と呼んで、『がん哲学外来』の対話の軸にしている。 『言葉の処方箋』は、『内村鑑三、新渡戸稲造、南原繁、矢内原忠雄などの先人』が残した言葉の中で、来談者さんの心に響くものを伝える。 『がん哲学外来』の対話で心がけていることの一つに『偉大なるお節介』がある。 自分の一方的な思いや気持ちで接するのは『余計なお節介』となろう!



 
 
 

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