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執筆者の写真樋野 興夫先生

第181回 「不思議な助言者」〜 自分の思いを超えた人生体験 〜

 2022年1月12日B型肝炎創薬実用化等研究事業(B創)課題評価委員会に出席した【AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)(読売新聞ビルに於いて)】。 スタッフの皆様の真摯な働きには、大いに感激した。 想えば、筆者は、医学部を卒業して、癌研で研究をスタートした。 その時の研究テーマは、肝発がんであった。 化学物質による化学肝発がん、B型肝炎ウイルス(HBV)によるウイルス肝発がん機構であった。 発がん研究は、山極勝三郎 (1863-1930) の「人工発がん」(1915)、吉田富三 (1903-1973) の「肝がん創成」(1932) と日本国は世界的な業績がある。 日本国は化学発がんの創始国である。 20世紀は「がんを作る」時代であった。 21世紀は「がんを遅らせる」研究で再び、日本国は世界に貢献する時にあると思う。 具体的には「環境発がん」研究のアジア貢献にあろう。 筆者は、さらにアメリカ留学時代「遺伝性がんの父」Knudson博士との出会いが与えられ、遺伝性がんの研究へと進み、その流れから発見した遺伝子が「アスベスト・中皮腫」研究へと思わぬ展開となり、時代の要請として2005年、順天堂大学で本邦初の『アスベスト・中皮腫外来』の開設となった。 そのことが2008年の『がん哲学外来』の開設に繋がるとは、自分の思いを超えたまさに『見えざる手の導き』を感じざるを得ない、ささやかな人生体験である


2022年1月13日東京国際朝祷会第3102回新年合同朝祷会に招待された(OCCの東京プレヤーセンターαチャペルに於いて)。 筆者は、『イザヤ書9章6節』から奨励『不思議な助言者』を語った。 まさに、『見えざる手の導き=不思議な助言者』である。 これが、『がん哲学外来』の心得の原点である! 奨励の後、会場で質問を受け、参加者の皆様と「分かち合いのとき」を待った。大変、有意義な充実した時であった。 その後、東京都三鷹市のルーテル学院大学での『現代生命科学』で、『病理学』の講義に向かった。 今回は、教科書を音読しながら、「老化と老年病:生理的老化と病気、老化のしくみ、老化によるがんの発生、老化による心血管病、諸臓器の老化と病気、老年病、老年症候群、医療従事者としての心得」と「新生児の病理:正期産児の疾病」の授業を行った。 学生の熱心な学びの姿勢には、大いに感動した。

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