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執筆者の写真樋野 興夫先生

第182回 人生の良き邂逅〜「何が重要なのかが明確になる」〜

 2022年1月19日6:00pm 東京医科歯科大学名誉教授 春日孟 先生(2022年1月15日御逝去 享年94歳)の通夜に参列した(練馬会館に於いて)。 春日孟 先生の若き日の写真、ご家族との穏やかな写真を拝見し、また、ご遺族のおもてなしに大いに感動した。 涙無くして語れない。 想えば、筆者は、医学部を卒業して、癌研で研究をスタートした。 豊島区の大塚にあった癌研病理部での研修研究員時代、当時の病理部長:北川知行 先生と所長:菅野晴夫 先生(1925−2016)のお計らいで、春日孟 先生にお世話になり、1984年、論文『肝癌症例におけるB型肝炎ウイルスDNAの組み込み頻度と肝癌発生におけるその評価』を提出して医学博士を取得させて頂いた。 そして、研究員となり、助成金『The Yamagiwa-Yoshida Memorial International Cancer Study Grant (UICC)』を得て留学(米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター)の機会が与えられた。 貴重な人生の出会いであった。 涙無くして語れない。


 通夜では、北川知行 先生(がん研究所名誉所長)に久しぶりにお逢いした。 北川知行 先生は、現在86歳(1936年生まれ)とのことである。 北川知行 先生は「天寿がん」の創始者でもあり『1968年、98歳の男性の特志解剖を行った(東大では自ら希望して病理解剖が行われる場合を特志解剖と呼んでいた)。この方は生来ずっと健康で医者にかかったことがなく、この年まで頭脳明晰で体もよく動いていた。亡くなる3か月前から食が細くなり、次第に衰弱して、本人も家族も"大往生"と喜ぶ中で安らかに亡くなったのである。亡くなる前にこの方は、往診の医師に「自分の体には健康長寿の秘訣が宿っていると思うので、死後、大学に運んで解剖し、それを明らかにして医学の進歩に役立ててほしい」と遺言した。解剖すると、胃の幽門部と噴門部にそれぞれ10cm大の胃がんがあった。噴門部のがんによる食道出口の狭窄が死因であった。この時、「こんな死に方なら、がんで死ぬのも悪くないな」と強く思った。この方は、"天寿がん"第1号となり大きく世の中に貢献をしたのであって、常に本名を記してその名誉を讃えている。』と教わったものである。 また、北川知行 先生からは、最近 文部科学省の推進する『がん教育』における「小学校、中学校、高校生でのあり方とその強調点の違いと心得」を教わったものである。 「何が重要なのかが明確になる」のが、人生の良き邂逅であろう!

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