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執筆者の写真樋野 興夫先生

第184回 陣営の外へ 〜 先人をたどる意義 〜

今回は、第184回目である。 この度、『21世紀のエステル会』の単行本化の希望が寄せられている。 思えば、筆者の最初の本は、2003年11月10日発行の『われ21世紀の新渡戸とならん』である(添付)。 【― この本は、樋野興夫先生が日本学会事務センターの広報誌『Scientia』に連載した文章をまとめたもの。― 序文の中で、樋野興夫先生は「所詮われわれには、死ぬときは『畳1枚ほどの墓場』しか残らない。『勇ましく高尚なる生涯』の生き様を見せるしかない。精神的デフレが進む現代、『愉快に過激にかつ品性』を合言葉に― 新渡戸稲造:1862-1933と吉田富三:1903-1973(がん病理学者)の総合ビジョンを問い直す機会になれば幸いである。 がん哲学の普遍化の第1歩である。と、さらに『樋野先生は、すでに2001年から「がん哲学」を提唱されていたのである。と紹介されている。 この本は、大きな反響があり、第4刷まで進み、2018年1月20日には、新訂版『われ21世紀の新渡戸とならん』が発行される運びとなった(添付)。そして2019年4月8日英訳『I want to be the 21st Century Inazo Nitobe』も出版された(添付)。 人知を超えており、ただただ驚きである。


【序文】には、『― 思えば筆者の人生は、小さな村での少年時代の原風景、浪人生活での人生の出会い、学生時代の読書遍歴(内村鑑三1861-1930・新渡戸稲造・南原繁1889-1974・矢内原忠雄1893-1961)、癌研での「病理学(吉田富三・菅野晴夫1925-2016)との出会い」、アメリカでの恩師『遺伝性がんの父:Knudson』(1922-2016)の「学者の風貌」との出会いが、根幹にある。まさに「人生邂逅」の「非連続性の連続」である。―』と紹介されている。


*陣営の外へ

*開いた扇の要

*Dramatypeの復権ー温故創新

*楕円形の心

*Red herringに気をつけよ

*共生のコンセプトー改革者の精神

*学問的という形容詞ー向上心のある虫

*南原繁-洞窟の哲人

*夢・ビジョンを植えるー絵本に学ぶ

*成功本位と誠実本位ー「商売成功の秘訣」十ヶ条に学ぶ

*余をしてもし外務大臣たらしめばー小国の大人物

*人爵 VS 天爵ー「遺りの者」から

*年始雑感ー縄文人に習う

*構造異型に立ち向かう度量

*桃太郎の器量ーリーダーの胆力

*人生の師ー歴史・学問の動脈

*時を友としてーウィルヒョウ没後100年

*郷中教育ー人格の力

*高貴なる意志の感動-「アンテナ型」と「羅針盤型」

*喚起の場ーGrasp of things

*賤しからざりし精神ーimitate vs like

*長興又郎・矢内原忠雄と現代

*学生と教養ー人を知る

*日本肝臓論

*戦争と癌ー由って来るところ遠きもの

*「しかない人生」

*故きを温めてー先人をたどる意義

*今世紀の温泉と健康戦略ー「ひも亭主」目覚めよ

*おわりに


『最近、「われ21世紀の新渡戸とならん」の初版(2003年出版)を再読しています。 初版から20年近くなりますが先生のお話は変わらず一貫していますね。 長引くコロナ禍を焦らず慌てずパニックにならず生きるヒントを教えていただきます。』、『金曜日の授業(医学部3年生)に臨床腫瘍学の系統講義があります。「われ、21世紀の〇〇とならん」を出題してみましょう。』などなどの心温まるメールを頂いた。 今年、『21世紀のエステル会』の単行本化が実現したら、新渡戸稲造 生誕160周年記念となろう! 『自分を制し、慎み深く、品位があり、よくもてなし、教える能力があり―』(テモテへの手紙 第一 3章2節)が蘇る日々である。



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