2022年4月13日は、 順天堂大学 保健医療学部 診療放射線学科の2コマ『病理学概論』&『がん医療科学』、そして、大学院修士課程(医科学コース)講義【がんの定義、自然史と介入】の授業であった。 【初期条件がある範囲にあると、初期の変異が経時的変化とともに 分子の相互作用によって、様々に拡大し、将来予測が不可能になる。 これは初期のわずかの変異で 大きな効果が出ることを意味する。 非平衡状態にあり外部と相互作用する開かれた複雑系では、初期状態(Genotype)が同じでも、外部から、意識的に適時に介入すれば、ある特異点(Phenotype)で分岐し 多様性のある制御(Dramatype)が可能になるはずである。 病気はDramatypeなる故に、予防、治療が成立する。】と語った。
また、【「電子計算機時代だ、宇宙時代だといってみても、人間の身体の出来と、その心情の動きとは、昔も今も変ってはいないのである。 超近代的で合理的といはれる人でも、病気になって、自分の死を考へさせられる時になると、太古の人間にかへる。 その医師に訴へ、医師を見つめる目つきは、超近代的でも合理的でもなくなる。 静かで、淋しく、哀れな、昔ながらの一個の人間にかへるのである。 その時の救いは、頼りになる良医が側にいてくれることである。」&「人間は、ロビンソン・クルーソーの様に 孤島にひとり住んでいたのでは、良い人か悪い人かは判らない、人間社会の中に住まわせてみて初めて その性(サガ)が明らかになる。 がん細胞もしかり。」&「がん細胞は 増殖して仲間が増えると、周囲の正常細胞からのコントロールを脱し、悪性細胞としての行動をとるようになる。 君達学生諸君も似たところがある。 一人ひとり話をすると、常識もあり善良な青年にみえるのだが、学生自治会として集団行動をとると、変なことを云ったりしたりする。」& 「正常細胞(使命を自覚して任務を確実に果たす)vs癌細胞は真の目標を見失った細胞集団=エゴイスト集団」】と吉田富三(1903-1973)の授業を紹介した。
終わりに、【医療者の2つの使命」:(1)「学問的、科学的な責任」で、病気を診断・治療する学者的な面 (2)「人間的な責任」で、手をさしのべる】と触れた。 今回は、大変有意義な『3連チャンの授業』の機会が与えられた。
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