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執筆者の写真樋野 興夫先生

第198回 立場を超えて集う 〜 「教育の場」 〜

 2022年5月12日 ルーテル学院大学 (東京都三鷹市) の『現代生命科学1』の授業に赴いた。 3限:14:30-16:10、4限:16:20-18:00であった。 今回は、教科書『カラーで学べる病理学』を用いて、【組織:上皮組織 支持組織 筋組織 神経組織、 細胞障害、 壊死とアポトーシス:壊死(凝固壊死、融解壊死、特殊な壊死:乾酪壊死、壊疽、ミイラ化)、 アポトーシス、 萎縮:生理的萎縮、無為萎縮、 圧迫萎縮、 再生医療における幹細胞とips細胞、 再生と再生医療、 化生、 創傷治癒と肉芽組織、 異物の処理、 肥大と過形成、 生体と循環のしくみ、 充血とうっ血、 旁側循環、 出血(出血の種類、出血による結果と影響、 出血性素因:血液凝固の異常、 血小板の異常、 血管壁の異常)】を音読しながら、また、【学習課題】も示しながら進めた。 多くの質問もあり学生の真摯な学びの姿勢には 大いに感動した。 授業とは立場を超えて集う「交流の場」を実感する。 まさに「練られた品性と綽々たる余裕の習得」は「教育の真髄」であろう。


想えば、小さな村の島根県簸川郡大社町鵜峠で生まれた筆者が、鵜鷺小学生時代に聴いた「ボーイズ・ビー・アンビシャス」(boys be ambitious)(1877年 札幌農学校のクラーク博士:1826-1886の言葉)が、筆者の人生の起点になるとは「不思議な人生の邂逅」である。 札幌農学校におけるクラーク博士のクラーク精神が、内村鑑三(1861-1930)と新渡戸稲造(1862-1933)へと導かれ、英文で書かれた『代表的日本人』(内村鑑三;1908年) と 『武士道』(新渡戸稲造;1889年)は、若き日からの座右の書となった。 そして、南原繁(1889-1974)と 矢内原忠雄(1893-1961)へと繋がって行った。 「人生の邂逅の非連続性の連続性」である。 まさにパウロの言葉「すべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ローマ人への手紙8章28節)の実体験である。


今夏 新渡戸稲造の縁のある軽井沢で、【新渡戸稲造生誕160周年記念 軽井沢サマーセミナー『新渡戸稲造博士の足跡をたどる』(仮題)】が企画されるようである。 筆者は、講演『「人生邂逅」 〜 普遍的な人間関係の要 〜』の機会が与えられている。 【「高度な専門知識と幅広い教養」&「視野狭窄にならず、複眼の思考を持ち、教養を深め、時代を読む」】は、教育者の務めであろう。

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