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執筆者の写真樋野 興夫先生

第203回 「ほんものの教え」 〜 「誠意と思いやり」 〜

 2022年6月15日 順天堂大学 保健医療学部 診療放射線学科の3時限目の

授業『病理学概論』を行なった。 今回も教科書『カラーで学べる病理学』

を音読しながら進めた。 箇所は『免疫とアレルギー』の章で、【「生体に

おける免疫系の役割」、「免疫系のしくみと働き」、「アレルギー」】であ

った。 いつもながら、真摯に教科書を音読する学生の姿勢と多数の質問に

は、大いに感動した。


4時限目の授業『がん医療科学』では、『楕円形のこころ』(春秋社)を用

いて進めた。 今回は、【「楕円形は懐が深い」、「尊いいのち」、「ほん

ものの教え」、「人生の目的を考える」、「多様性の統一」、「肝臓から学

ぶ平和論」、「あなたの細胞」、「がんは賢い」、「がんの姿」】を音読し

た。 新渡戸稲造 (1862-1933)、内村鑑三 (1861-1930)、南原繁 (1889-1974)、

矢内原忠雄 (1893-1961)についても語った。 講義内容とは関係のないユ

ーモア溢れる多数の質問には、ただただ圧倒された。


その後、新渡戸記念中野総合病院での定例の読書会『武士道』(新渡戸稲造

著、矢内原忠雄 訳、岩波書店)に向かった。 理事長、病院長、副院長、看

護部長、事務局長、職員らが参加される。 新渡戸記念中野総合病院は、1932

年 新渡戸稲造、賀川豊彦(1888-1960)らにより設立された。 今年は創立90

周年である。 理念は【新渡戸稲造の精神「誠意と思いやり」を基にした医

療を誠実に実践し、疾病を抱えた人を真心で支援する。】と謳われている。

筆者が新渡戸稲造記念センター長に就任してから、世界的名著である『武士

道』の読書会を毎月1回開催されている。 今回は,第13章「刀・武士の魂」

であった。 事務局長補佐による音読後、皆様と自由討論の時間を持った。

初めて参加された事務職の方も居られ、大変、有意義な貴重な時となった。

勝海舟の『蚤や虱だと思えばいいのさ。 肩につかまって、チクリチクリと

刺しても、ただ痒いだけだ、生命に関りはいないよ』が、今回は大変印象に

残った。 まさに、「武士の究極の理想は平和である」の精神であろう!

『良き読書』には、その時々によって『心に響く言葉の処方箋』がある!

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