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執筆者の写真樋野 興夫先生

第261回 使命を自覚して任務を確実に果たす 〜 温かい人間としての関係〜

 2023年4月12日順天堂大学大学院修士課程(医科学コース)『がんと遺伝子』での講義【がんの定義、自然史と介入】を担当した。【『がん研究』の目的は、『人のからだに巣食ったがん細胞に介入して、その人の死期を再び未確定の彼方に追いやり、死を忘却させる方法を成就すること』である。『適時診断と的確治療の実現』である。『がん改革元年』と呼ばれている2007年の『がん対策基本法』施行を機に、国のがん対策が加速した。― がん治療にあたって、より患者の視点に寄り添うことが求められる。『がんの根幹を追求』し、『俯瞰的に物事を総合的に見られるようにする』ことを目的とする。】と述べた。


【発がんの連盟的首位性 — Genotype, Phenotype, Dramatype — 初期条件がある範囲にあると、初期の変異が経時的変化とともに分子の相互作用によって、様々に拡大し、将来予測が不可能になる。 これは初期のわずかの変異で大きな効果が出ることを意味する。 非平衡状態にあり外部と相互作用する開かれた複雑系では、初期状態(Genotype)が同じでも、外部から、意識的に適時に介入すれば、ある特異点(Phenotype)で分岐し多様性のある制御(Dramatype)が可能になるはずである。 病気はDramatypeなる故に、予防、治療が成立する。 さらに、 『真理は円形にあらず、楕円形である。一個の中心の周囲に描かるべきものにあらずして、二個の中心の周囲に描かるべきものである。— 人は何事によらず 円満と称して円形を要求するが、天然は 人の要求に応ぜずして 楕円形を採るはふしぎである。』 ― 癌も身の内=不良息子:正常細胞(使命を自覚して任務を確実に果たす『自己制御と犠牲』の上に成り立つ)vs 癌(真の目標を見失った細胞集団=癌細胞=エゴイスト集団)。】と紹介した。 さらに【『人のからだに巣食ったがん細胞に介入しその人の死期を再び未確定の彼方に追いやり死を忘却させる方法を成就すること。Intentional Delay(天寿がん)の実現』(添付)、『人生いばらの道however(にもかかわらず)宴会』、人は、最後に『死ぬという大切な仕事』が残っている。『医療者の2つの使命』(1)『学問的、科学的な責任で、病気を診断・治療する』。(2)『人間的な責任で、手をさしのべる。 患者と温かい人間としての関係』】とさりげなく語った。 質問も多数あり 真摯な学生の姿勢には、大いに感動した。 大変充実した貴重な授業時間となった。



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