筆者は2008年に順天堂大学医学部附属順天堂医院で『がん哲学外来』を開設し、以来、がんにまつわるさまざまな悩みの解消につとめてきた。
『がん哲学外来』をはじめたのは、筆者ががんの研究をする『病理学者』である以上に、新渡戸稲造(1862-1933)の言葉に深い共感を覚えたからである。 筆者が、面談者に差し上げる『言葉の処方箋』は、新渡戸稲造を筆頭に筆者が尊敬する人物から学んだ人生哲学のエッセンスであり、それが筆者の生きる基軸にもなっている。
筆者は2003年、『われ21世紀の新渡戸とならん』(イーグレープ発行)という本を発行した。 そして、新渡戸稲造が『東洋と西洋をつなぐ架け橋』になることを願ったように、『医療とがん患者をつなぐ架け橋』を築くことが筆者の使命だと、思いを新たにしている。
がん患者のためだけのものではない。がんに限らず、人生には幾多の苦難がつきものである。 新渡戸稲造の言葉は、困難に直面して立ち止まっている人、逆境に はまって必死にもがいている、そんな人たちに大きな勇気を与えてくれます。 そんな新渡戸稲造の言葉は、どんな人でも直面する悩みや悲しみを癒し、苦難や逆境を乗り越え、〝よき人生〞を過ごす糧を与えてくれるものであろう。 この度、『新渡戸稲造の「人生の壁を破る言葉」』(三笠書房発行)出版される運びとなった (添付)。
『必要なとき、人の徳を養うのに役立つことばを話し、聞く人に恵みを与えなさい。』(エペソ4章29節)
『世に生まれ出たる大々的目的は、人のために尽くすにある。―― わが周囲の人が少しなりともよくなれば、それで生まれた甲斐がありというもの。』
(新渡戸稲造 一日一語:1月15日)
『何人も一定の使命をもつて生まれ、使命を果たさんために存在するものと信ぜねばならぬ。』(新渡戸稲造 一日一語:9月12日)
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