第286回『21世紀のエステル会』で記述したように、『新渡戸稲造の「人生の壁を破る言葉」』(三笠書房発行)出版される運びとなった。
【他人を尊敬する念は、誰の心中にも必ず潜んでいて、また少し注意すれば、どんな人に対しても、必ず尊敬すべき理由を発見し得るものである。 いやしくも自らを重んじる人は、必ず他人を尊敬する。 もしその念がない人があるとすれば、その人に自重心がないという欠陥を自白するようなものである。】と、新渡戸稲造(1862-1933)著『世渡りの道』を引用した。
【『外部の動作に現れた行為そのものではなく、まず心の中に相手に対する敬意があって、それが外に現れて初めて真の礼節となる』と新渡戸稲造は語っています。つまり内心に誠意がないのにそれを装うのは、かえって無礼な振る舞いなのです。もちろん、礼節はけっして悪いことではありません。でもそれだけで満足していては、真の人間関係を築くことはできないのです。
『法律のみで世渡りしようというのは、ちょうど油の切れた車を運転するようなもの。 動くには動くが、キイキイと嫌な音がし、労力の割には速力が極めて遅い』 しかし、油をさせば車は軽快に動きます。『礼節という油をさし初めて円満に世渡りができる』と新渡戸稲造は示唆しています。 では、どうやって礼節という油をさしたらよいのでしょうか。 新渡戸稲造は、他人に道を譲ったり、列車に乗ったら席を詰めて、一人でも多くが座れるように心がけたりすること。 あるいは見ず知らず同士でも笑顔で話しかけること……こうした礼節という油をさして、はじめて社会は円満になると語っています。 面識のない人と情を通わせるのは、礼節の心を養うのに役立つはずです。
『六の長所に目を向けて、四の短所に目をつぶる』ということを新渡戸稲造はすすめています。 短所に目をつぶり、積極的に長所を見れば、自然に相手に対する尊敬の念が湧き、礼節を守るようになるというのです。】と記述してある。 本書が、たくましく生きていく手助けになれば、望外の喜びである。
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