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執筆者の写真樋野 興夫先生

第289回 読書の意義 〜 『品性を完成するに在り』 〜

 2023年8月23日、【宿題です! 『読書する人は長生きする』という研究がアメリカの大学で、あるとのことですが、日本では如何でしょうか?】で、大いに盛り上がった。


筆者の学生時代の読書遍歴は、【内村鑑三(1861-1930)・新渡戸稲造(1862-1933)・南原繁(1889-1974)・矢内原忠雄(1893-1961)】であった。 内村鑑三は『成功の秘訣 10箇条』の中で、人生の目的は『品性を完成するに在り』と言っている。 まさに『苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む』(ロマ書5章3、4節)である。 内村鑑三は、また、誰もが後世に残すことができる最大の遺物は『勇ましい高尚な生涯』であるとも述べている。 『時代を動かすリーダーの清々しい胆力』としての『人間の知恵と洞察とともに、自由にして勇気ある行動』(南原繁著の「新渡戸稲造先生」より)の文章が思い出される今日この頃である。


筆者が南原繁の名を初めて知ったのは19歳で、一人の先生に出会ったことによる。 その先生は東大法学部の学生として南原繁から直接教わった人で、南原総長時代に卒業した人である。 その先生から南原繁の『話し方』&『話の内容』に至るまで、よく聞かされ、『学者の風貌』を覚えさせられたものである。 筆者の原点であり、そして医学生、病理医師時代の読書遍歴は、【内村鑑三・新渡戸稲造・南原繁・矢内原忠雄の著書】となった。4人の著作に親しんで50年にもなる。 筆者は、2007年から 毎月 内村鑑三・新渡戸稲造の読書会を行なっている。


人生における出会いは、出会った時に受ける影響だけに留まらず、20年、30年、50年後に影響してくることを 実感する日々である。 『人生は開いた扇の様である』。 読書は、自分の思いを超えた『人生邂逅』の恵みとなろう。


『国民の理想とビジョンをつくり出すのは、根本において教育と学問のほかにはない』(南原繁)。 まさに、『人生邂逅の3大法則 〜 良き先生、良き友、良き読書 〜』である。 『良き先生、良き友』に出会え無くても、『自由意志で誰でも出来るのは読書』であり、『教育の真髄』であろう。

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