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執筆者の写真樋野 興夫先生

第372回 “ニッチ(すき間)”を埋める  〜 心惹かれる存在 〜

 2024年9月2日、新渡戸稲造(1862-1933)記念センターに赴いた。 9月3日は、名古屋での『日本がん疫学・分子疫学研究会(The Japanese Society of Cancer Epidemiology)大会長:若井建志先生(名古屋大学大学院医学系研究科予防医学分野)』に参加する。

 

筆者は、【2018年2月号No.117日本がん疫学・分子疫学研究会News Letter 『最近のトピックス: 『がん哲学外来」の紹介 〜 がんも単なる個性である社会構築を目指して 〜 』】の原稿を依頼されたのが、今回鮮明思い出された。

【『がん哲学外来』の効果:順天堂医院で5回の試作で始めた『がん哲学外来』(毎日新聞夕刊2008年1月25日付、読売新聞朝刊2008年3月23日付)は、すぐに予約で埋まってしまった。 遠く県外からもある。 大きな驚きであった。 既存の『がん相談』や『セカンド オピニオン相談』とは異なる“ニッチ(すき間)” なのであったろうか。『がん哲学外来』は対話型外来が基本である。 家族同伴も多い。 一組の相談に30〜60分を費やす。 それだけでも、患者の表情は明るくなる。 自分の考えを誰かに 伝えたい思いがある。 病状の進行を非常に知的 に、かつ冷静に受け止め、残された時間をどう使うか、家族に何を残すか ということまで決めて来る患者もいる。 その思いを受け止めてくれる医師は いないものかと見回した時、変わった看板を掲げている『がん哲学外来』は、心惹かれる存在として映るのではなかろうか。

『がん哲学外来』のモットー :満足し、快活な笑顔を取り戻した患者も少なくない。 その姿に接し、『がん哲学外来』の時代的要請を痛感する。『がん哲学外来』のモットーとして、『暇げな風貌』と『偉大なるお節介』がある。『暇げな風貌』とは、たとえ忙しくても、そのことを表に出さず、『暇げな風貌』をした人が、ゆったりとした雰囲気で患者と対話できる資質のことである。『偉大なるお節介』は、『他人の必要に共感すること』であり、『医療従事者』としては『余計なるお節介』と『偉大なるお節介』の微妙な違いと その是非の考察が課題となろう。『がん学に従事する医療者』に求められるのは『暇げな風貌』と【偉大なるお節介】であると感ずる 今日このごろである。】と記載したものである。

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